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藤原啓治さん哀悼の意を表して、映画クレヨンしんちゃんを熱く語ってみた〜「モウレツ!オトナ帝国の逆襲」

お題「ゆっくり見たい映画」

 わたしは、アニメ「嵐を呼ぶ園児クレヨンしんちゃん」の放送初期からのファンです。当初学生だったわたしは、毎日のように友人と物真似をし、学園祭のPRのためのラジオ出演では、挿入歌をリクエストしたほどです。

 その後、息子が興味を示して再燃。野原一家は、我が家の理想の家族であり、みさえは理想の母ちゃんの象徴でした。

 今月中頃、しんちゃんのお父さん「野原ひろし」の声を担当していた藤原啓治さんの訃報が発表されました。闘病のために降板していたことは知っていましたが、こんなにも早く悲しいお知らせを聞くことになるとは、残念でなりません。

 息子も成人し、あの理想の家族に近づけたのかどうかはわかりませんが、ずっとわたしの心の支えとなっていたことは確かです。この場をお借りして、感謝をお伝えするとともに、心からご冥福をお祈りいたします。

 

 

伝説の映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」

 ギャグアニメなのに、「泣ける映画ランキング」に必ずランクインする、伝説の映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」はご存知でしょうか?滅多に、こんな言い方はしませんが、まだ観ていないのならば、ぜひ鑑賞ください。今、どんな生き方をしていようとも、今現在オトナという立場ならば、是非見ていただきたい、いや絶対見るべきです。

 簡単に、どんなお話かを紹介します。

 古き良き「高度経済成長だったころ」の面影がない21世紀の日本を、汚れた金とゴミの匂いしかしないと嘆くケンとチャコ。そんな世の中を、人々がまだ心を持ち、未来を信じることができた20世紀へと、逆戻りをさせようという計画「イエスタデーワンスモア」を企て「20世紀博」を作ります。20世紀の懐かしい臭いに洗脳された大人たちは、どんどん子供化し、街からいなくなってしまいます。働く大人がいなくなった街は、ライフラインが止まり、残された子供たちも組織に捕われ始めます。必死に逃げるしんのすけたちですが、自ら20世紀博へ向かうことに…。既にオトナは「記憶を失い、子供時代を生きてる」と、知らされたしんのすけは、ひろしとみさえを助け出し「今」を取り戻します。そして野原一家は、ドタバタとズッコケながらも、イエスタデーワンスモアを阻止しようと闘う…そんなストーリーです。

泣ける映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」

 クレヨンしんちゃんはギャグ漫画です。アニメシリーズも映画も、当然「魅力」はギャグにあると思っています。なので、泣ける部分はネタの真髄ではないため、バレてもよいという勝手な判断のもと、この映画の泣きポイントを紹介します。

 笑い部分のネタバレには、細心の注意を払いつつ。

 万が一、「どんな理由であれ、ネタバレは御免だ」という方がいらっしゃるのであれば、この章は読まずにすっ飛ばしてください。

 

では、何度見ても泣いてしまうシーンを、まるっとご紹介。

泣きポイント1

 イエスタデーワンスモアの拠点にたどり着いたしんのすけは、大人たちが昔の臭いで子供に戻っていることを知らされます。しんのすけが見つけた父ちゃんは、子供の姿になってしまい、若きお爺ちゃんとお婆ちゃんと、万博を見学しています。

 しんのすけは、言います。

 「父ちゃん、迎えにきたよ」

 昔のにおいで子供になっているのならばと、現代の強烈なにおいをひろしに嗅がせます。すると、子供時代から学生、社会人、みさえと出会い、恋をして、結婚し、子供がうまれ、必死に仕事をし、家に帰ると家族が待ち、お風呂と、暖かい食卓と、家族の笑顔と、休みの日には出かける…そんな幸せな人生が回想されます。そして、今の記憶を取り戻したひろしは、目の前にいるしんのすけを泣きながら抱きしめます。

 この一連のシーン。それまで大笑いしていた空気が、一気に涙腺崩壊モードです。

泣きポイント2

 ケンとチャコの計画は、20世紀万博のタワー頭頂部から「20世紀の臭い」を噴射し、オトナたちを「後戻りできないレベル」に洗脳させることで、20世紀を取り戻すというものです。その計画を、野原一家は力を合わせて阻止しようとし、そのスイッチがあるタワーの頭頂部を目指します。追っ手を振り払いながら上り続ける野原一家。ひろし、みさえ、ペットのシロと、次々と身を挺して追手を止めます。最後は、ひとり必死に走るしんのすけ。階段を上り、転んでは立ち上がり、ボロボロになりながらも上り続けるその姿に、涙せずにはいられません。

泣きポイント3

 ようやくたどり着いた時には、立ち上がることもできないほどボロボロです。スイッチの前にはケンとチャコがいます。そこで叫んだしんのすけのセリフに、鼻水垂れ流しながら涙することになります。

オラ、父ちゃんと母ちゃん、ひまわりやシロともっと一緒にいたいから

ケンカしたり頭に来たりしても、一緒がいいから

あと、オラ、オトナになりたいから…

 更に続く次のセリフが、しんのすけらしいセリフになるので、結局笑ってしまい、泣き笑いとなります。笑って泣いて、泣いて笑っての繰り返しで、清々しさの中に感情の疲労を感じ始めます。

 

「モウレツ!オトナ帝国の逆襲」は、オトナのための映画であり、子供の未来のための映画

 野原一家が、ケンとチャコに宣戦布告をしにいくと、ケンは言います。

お前たち、本気で21世紀を生きたいなら行動してみせろ。

未来を手に入れてみろ。

 この作品は、現代社会に疲れたオトナが、子供のころはよかったなぁと回顧し、ノスタルジーという風が入り込んだ「心の隙間」を何かで埋めようと足掻き、現実逃避の欲求を掻き立てられるものの、観ていくうちに、やはり今が大事だろ?自分や子どもたちの未来を守るんだろ?と、今を確かめるための物語です。そして、観た後で得られるものは、今を生きる覚悟ではないでしょうか。

 ラストシーンの挿入歌が流れた時には「どんな状態でもいいから、今を生きるしかないんだ」と、思いはじめていました。

吉田拓郎「今日までそして明日から」

わたしは 今日まで 生きてみました

時には だれかの 力を借りて

時には 誰かに しがみついて

わたしは 今日まで 生きてみました

そして今 わたしは 思っています

明日からも こうして 生きていくだろうと

 

クレしんファンから賛否両論の「伝説の4部作」

 本来クレヨンしんちゃんは、PTAから嫌われるレベルのギャグが、子供に人気でした。ところが、この2001年公開映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ オトナ帝国の逆襲」は、壮大なストーリーと、映像の迫力と、大人を魅了する素材とで、それまでの、子供がゲラゲラ大笑いする作風とは、ガラリと変わっています。

 そしてこの作品を含めた4作が、のちに語り継がれていくことになります。

「嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」

  翌年、2002年公開の作品「嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」は、数々の賞を受賞することになり、それまで、クレしんアニメを見ていなかった映画マニアの間でも、話題になります。

  歴史物、美しい映像表現、壮大なファンタジー、衝撃のラスト。もちろん、ギャグも健在ですが、本来の魅力を超えてしまっています。

 

 そこへ反逆の意を込めた2作品が誕生!

「嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード」

  続く、2003年公開「嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード」では、古い映画から当時話題の映画まで、数多くのパロディーシーンが散りばめられており、映画マニアにはたまらない作品となっています。ブラックホークダウン*1のパロディーシーンが、個人的にツボです。

 もちろん、笑いどころも満載です。

「嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ」

  更に、2004年の「嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ」は、前作に続く「映画のパロディー」もの。こちらは西部劇を題材としているだけあって、西部劇好きにはたまらない(のかもしれない)。残念ながらわたしは西武劇には詳しくないので、雰囲気だけ楽しみました。

 

 その後、本来の「嵐を呼ぶ園児」らしい作風を取り戻し、軌道修正されていくわけですが、わたしはこの4部作が何より大好きです。

やっぱり感動よりも「笑い」が好き!

 熱くなりすぎて、長くなってしまいました。

 クレヨンしんちゃんは、やっぱり笑いが軸にあるから大好きなわけで、この作品も数々の笑いどころが散りばめられています。さくっと、お気に入りを1つを紹介して、終わりにしたいと思います。

「ねぇねぇ風間くん?

 オシッコしたい時のきもちを『にょうい』っていうけど

 オナラしたい時のきもちって?」

「・・・

 ・・・『へい?』」

「おーぉ!へいへい♪」

 

 ひろし、しんのすけをステキな子どもに育ててくれて、ありがとう。

 

お題「ゆっくり見たい映画」

*1:2001年アメリカの戦争映画 日本公開:2002年3月 監督:リドリースコット 主演:ジョシュハートネット ソマリアでの実話「モガディシュの戦闘」を描いている。

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