Watana Bear's journey of life

旅するしろくま

イイ男のふるまい、ダメな男のふるまいについて息子と語ってきた

 昨夕、息子と急遽「レモンサワーと餃子」をがっつきに行ってきた。アルコール提供は19時までなので18時までには入店したいと思い、寒空の中を汗だくになりながらダッシュで向かう。18時まえには到着し、カウンターを選択して着席、速攻で注文する。

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 空席が目立つも、そこそこにぎわっている、

 餃子の大皿と、アラカルト的なものを数品注文して、とりあえず空腹を満たす。店員さんが少ないためか、商品が届くのに時間がかかる。居酒屋特有の「ハイ!お待ち!」とテーブルが一気に埋め尽くされている感はなく、むしろコース料理のように、一品開けたら飲んで談笑。間が持たなくなったら次の品が届くといった感じだった。

 この広さでこの店員の数は少ないの?と、居酒屋バイト経験のある息子にたずねてみた。当然少ないとの答えだった。コロナ禍時短営業で、利益減の現状を考えたら当然のことだし、それに対して腹を立てては酒もまずくなる。酒だけは頼めばすぐ来たので、飲みながら会話を楽しむことにした。

 

 18時半を過ぎると駆け込み客が増えてくる。アルコールは19時まで、ラストオーダーは19時半だと説明する店員。客も店員も、気の毒なほど切ない光景だ。

 カウンターは2席おきに空席がおかれるように配膳されている。

 わたしのとなりに30代のカップルが通された。入口に近いカウンターで、自動ドアが開くと風が入り込む上に落ち着かない。買い物帰りのようで、大きな紙袋を持っていた。彼女が荷物の置き方に困惑していると、すかさず彼氏が彼女にフォローを入れる。

「あっちのテーブルじゃダメなのかな?きいてみようか」

「でも、密にならないように開けてるんじゃない?」

「聞いてみなきゃわかんないじゃん」

 そういって、彼女がコートを脱ぐ暇も与えないタイミングで、自分の荷物と彼女の荷物を持って、移動しながら店員に問いかける。

「荷物が多いので、テーブルでもいいっすか?」

 聞かれた店員は、密にならないよう奥のテーブルに案内をして事なきを得た。

 その一瞬の出来事に、わたしはスタンディングオベーションをしたかった。そして心の中で彼女に「いい男、つかまえたっすね!」と拍手を送りながら餃子をほおばる。

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 その後まもなくすると、またカップルが入店。こんどは反対側(息子側)のカウンターに通された。なかなか座らないので、どうしたのか息子に聞いてみると、向こう隣りのお客さんが空席2個に荷物を置いていて座れないとのこと。その荷物を置いている女性客2名は会話に夢中になり、カップルに気づいていない様子。

 しばらく立ち尽くすカップル。どちらも何も対処せずに無駄な長い時間を過ごしている。男性がおっとりしているタイプならば、たいてい女性の方が気が利くというか、口や手が出やすいものだ。でもこのカップルは違うらしい。似たもの同士なのだろうか。その様子にあきれるほどだったのだが、もっと衝撃的な出来事が起きた。

 

「客の荷物があって座れないんで、やめます」

 

 男性がそういいながら出ていった。彼女も退出するのは早かった。やめる?ほかの店に行く?などというゴニョゴニョする様子もなく、一瞬のうちに去っていった。そのすばやさを、建設的な方向につかえよ。意味がからず、おもわず息子に聞いてしまう。

「え?どういうこと?」

 

 すると息子が教えてくれた。

 不便に思うこと、不快に思うことを自分で解決しようとせず、訴えもせず、ただただ店員にイキって捨て台詞を吐いて立ち去るお客さんが多いのだそうだ。時代や世代的なものなのかどうかはわからないが、新宿近辺は大体そうらしい。

 先ほど、部外者の私でさえ幸せになるような男性のアシストを見たばかりだったために残念でしかたがない。

 選択肢は退店以外に何個かあったはずだ。

  • 女性客に直接荷物をどけてもらうようお願いする、
  • 荷物があるので座れないことを店員伝えて、店員に対応してもらう。
  • 別の席に変えてもらう。
  • 勝手に別の席に変わる。

 

 アルコール提供タイムリミットまであと数十分の、1秒たりとも無駄にできないって時に、何をくだらんことでおいしいお酒と餃子を棒にふってしまうのか。実にもったいない。

 その後、息子が今のバイト先で見かける、理不尽で残念な男たちに翻弄される男たちと、上手に手のひらで転がす男たちの壮大な物語をあつく語ってくれたので、最強スーパーレモンサワーのペースは進み、トータル4杯飲んで帰ってきた。

 滞在時間1時間半ちょい。

 

 タダ飯が食えるからといって母ちゃんの呑みに付き合ってくれる息子なのだが、それでも、まーまーイイ男の部類に属していてほしいと願うばかりである。

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