Watana Bear's journey of life

旅するしろくま

いまの時代を生きていくスキル「ダメはダメなりにな」〜映画「青天の霹靂」

古いアルバムを見ていて「若いころの父親が劇団ひとりに似ている」ということに気づいた時から、わたしの中での劇団ひとりはお父さんとなりました。

それだけの理由で、彼の作品は見ておきたいとずっと思っていたのですが、今になってしまった理由は、失礼ながら「所詮ファンタジーのキレイゴトだろ」と食わず嫌いしていたからです。


青天の霹靂(プレビュー)

正直、40も過ぎてくると、小学生の道徳の授業みたいな話っていうんですか?「いやいや世の中そんなキレイゴトだけじゃ生きられないし、正義という名の暴力振りかざされても困るし…」的な感覚です。

目次置いときます [:contents]

結局みんな「ダメ」なのだ

いじめるほうもいじめられるほうも、それを放置してるやつらもみんな、実はどっか闇があるからそんなことになってるのに、いじめダメ!ストップ!的なノリで「木も見ないで森だけ見てわーい!みたいな熱血教師」にうんざりで。でも逆に木ばっかり見すぎて森がえらいことになってもーた的な熱血教師も、教育委員会からしたらお荷物なわけで。

つまりさ、いろんなものさしがあるんだから、世の中ほとんどの人は「どっかのものさしでダメ人間」になるんじゃねぇの?って思うわけです。

普通が一番難しい

時々、こういうことを言う人がいます。稀にいるのではなく、結構いるかもです。

「普通に高校いって、普通に大学行って、普通に就職すればいい」

普通ってナニさ。普通の高校、普通の大学、普通の就職ってドコよ!そんな、数値やものさしで何かを格付けしたって、フタを開けてみれば普通じゃなかったりするじゃない。

この作品の印象的な冒頭のセリフです。

いつからかなー、自分を特別だと思わなくなったのは。昔はさぁ、もっと自分のこと特別だって思ってたんだけどな。ほら、それこそ、エースとかキングとか、自分はそういう存在なんだって思ってた。ま、たしかに、学校の成績悪かったし女にもモテなかったけど。でもむしろ、それこそが 特別な証っての?正直まわりのヤツらバカにしてたもんね。どうせこいつら 普通に就職して、普通に家庭持って、そういう普通の人生しか歩めないやつらだって。

でも今んなってわかんのよ、そういう普通の人生手に入れるのって、実はすんげー難しいってことがさ。ものすごく努力して苦労して、どうにかなれんのが普通で、こんなもの【A】やこんなもの【K】はお話にならない、まーよくて、ここらかな【6】【7】。お客さんはー、そーねー、まーこの辺【4】かな。ま、これでも十分っすよ。

だって、おれのカード見ます?おれのカードは・・・【2】

トランプの役に見立てて自分の劣等感を表現するシーン。しかも、その劣等感は、ダメ親父と、自分を捨ててった母親に値するものだといいます。

劣等感を払拭するには、ものさしを変えればいい

詰込み教育の「目指せナンバーワン」からゆとり教育の「ひとりひとりがオンリーワン」に変わったところで、ものさしで測ることしか知らない大人が個性を伸ばしたり磨いたりすることなんてできずに、子どもは戸惑うわけですよ。

そんな人類が身につけた最新兵器は「フリーダム」。でも結局自由という「まったくものさしのない世界」で苦しまずにいられるのは「自分のものさしを持っている人だけ」

自分の不遇や優劣を誰かのせいにしたり、誰かと比べたりすることしかできない人は結局「フリーダムな社会」の中でも苦しむことになります。「自分のものさしに責任を持てること」これが、フリーダム社会で生きるための必須スキルかもしれません。つまり、どんな時代や世界でも「なんらかのものさし」が必要なわけです。

「ダメはダメなりにな」という表現こそ、何らかのものさしで測っているからこそ「ダメ」という評価が下されているので、この表現もあまり好きではないのだけれど、主人公の父親がいう「ダメはダメなりにな」はそうではありません。

自分のレベルを知り、自分のレベルのちょっと上を目指す人生。世間からみたらダメな親だって生きてるし、ある組織の中ではダメだった子供も、いる場所をちょっと変えるだけで発揮することができる。そんな、ひたむきに生きている「ダメはダメなりにな」なのです。

必要なのは、自分で自分を測れる能力と、自分サイズの場所を探す能力なのかもしれません。

生きる意味を探すよりも大切なこと

生きる理由なんて、あってないようなものです。

「生まれてしまったからには生きているだけ」それだけのことなのです。虫も、魚も、動物も人も、生まれてきたから生きているだけ。やりたいことやって生きりゃいい。やりたいことがわかんなかったら、やりたくないことをしなければいいだけの話です。

ただ、心の中にちゃんとした「ものさし」という武器を持っていれば。
そして、ものさしに合った場所を探して生きていくだけ

自分のレベルと、自分のものさしが合致しているかを確かめるために、わたしは時々こうやってブログ記事を書いていきます。

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